再開に向けて、一歩ずつ前進する「人吉温泉」の今

球磨川沿いに立ち並ぶ温泉地・人吉温泉。熊本の小京都として、その風情や温泉の泉質の良さから、多くの人々に愛されている人気観光地です。いつでも私たちを温かく迎えてくれる温泉地が、令和2年7月4日、氾濫した球磨川によって、変わり果ててしまいました……。あれから5カ月。人吉温泉はどうなっているのでしょう。「人吉温泉観光協会」を訪ね、現在の人吉温泉について取材しました。

令和2年7月19日の人吉・青井阿蘇神社周辺の様子。

令和2年7月19日の人吉・青井阿蘇神社周辺の様子

 

 

(令和2年7月19日の人吉・青井阿蘇神社周辺の様子)

「37軒ある宿泊施設のうち26軒が被災してしまいました。人吉駅にある観光協会の事務所は、ギリギリ浸水を免れましたが、施設の多くは、電話やネットなどの通信手段が途絶えてしまい状況把握が困難でした。JR・温泉・球磨川下り、人吉の観光の目玉が全て被災してしまったので、本当に愕然としました」。お話を伺った「人吉温泉観光協会」事務局長の北原さんは、当時をこう振り返ります。

人吉温泉の多くが被災し絶望的な中、いち早く再開した施設もありました。それが、「三浦屋温泉」です。再開後は、被災された人々へ温泉の無料開放を行ったそうです。

「被災した宿泊施設のうち6軒が営業を再開しています。年明けにはまた1軒、さらに春に一部再開を目指している宿もあります。ただ、再開できても、感染症の問題もあり厳しい状況ですが、立ち止まっていても仕方がありません。私たちに今できることをして、人吉温泉のファンをもっと増やしていきたいと考えています」。

12月15日には、青井阿蘇神社で国宝記念館の起工式が行われ、設計は新国立競技場を手掛けた隈研吾氏。復興のシンボルとして令和4年春の完成を目指しているそうです。

 

(「人吉温泉観光協会」のみなさんと人吉市役所の職員さん(左))

 

人吉駅に設置されているフライヤーには、営業中の温泉施設や宿泊施設の状況がまとめられています。元気に営業している温泉施設も多いので、まずはこのフライヤーを手に入れて、湯めぐりへ出かけてみては? 観光地の応援は、「観光をすること」が一番です。

(取材11月19日)

text&photo 今村幸子

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