2021年4月〜2022年2月にかけて、休眠預金活用事業として実施した
「大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる」プロジェクト。
※ 休眠預金活用事業について、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
今回は、佐賀未来創造基金さんの新型コロナ禍における緊急被災者支援事業で採択いただきました。
ことの発端は、
令和2年7月豪雨の際に、BRIDGE KUMAMOTO基金に紐づいて、基金の助成団体さんのPRおよび記録のために、多数のカメラマンおよびビデオグラファーに撮影のご協力をお願いしたことです。
コロナ禍において人手が足りないと言われていた中、体を動かすようなボランティア活動ではなく、支援くださった方への報告のための撮影が、果たしてどうなのか?
と少し不安もありましたが、助成団体さんからも活動をPRすることの助けになった!などと喜んでいただけました。
その時の動画たちはこちらからご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=avwqsjflRG0&t=12s
カメラマンやビデオグラファーだけでなく、BRIDGE KUMAMOTO基金設立時にはクリエイティブに関するサポートチームが立ち上がっていて、たくさんの方々にご協力いただきました。
改めて、ありがとうございます!
当時、モーニングCROSSさんで取り上げて頂きました
これらのことから、現地に行って実際に身体を動かすこと以外にも、各々のスキルによって
●行かずにできる支援
●スキルを活用した支援
●アイデアによってもっと効果を出せる支援
がたくさんあるのではないか、と感じました。
熊本豪雨直後に立ち上がったCREATIVE GROUPについては、こちらをご覧ください。
https://bridgekumamoto.com/project/bridge-fund-creative-group/
また、コロナと自然災害が同時に起きたのが、おそらく世界で初めてだったのが熊本豪雨だったのではないかと思います。
まったく前例のない状況で、何が正しいのか、何が有効なのかも分からないままで、被災地との距離が開いていく感覚を覚えた方は少なくはなかったはず..。
コロナという当時得体の知れないモノにより人の行動に制限がかけられ、リアルな情報が届かなくなってしまい、
現地ではどんなことが起こっていたのか、
現地にいた人たちはどんなことを考えていたのか、
などなど、当時そこにいた人にしか分からない情報となりました。
そして、被災地に駆けつけたいけど行くことができない、もどかしさや、いろんな想いを抱えた方々もきっと、たくさんいたように思います。
当時のことを知る術として、もしかしたら今後、誰かが情報を纏めてくれるかもしれません。
被災家屋数などは、正確なデータが行政が纏めてくれるでしょう。
もちろん、それらの情報も現地や災害の状況を知る上では大切です。
でも、そこで過ごしていた人たちのことを、少しでも知る術というのはないのではないか…。
今後またコロナのような得体の知れないモノと自然災害が重なったとき、コロナ禍での熊本豪雨では何が起きていたのか、誰も知らない情報となってしまうのではないだろうか…。
ふと、漠然とした不安のようなものを感じました。。
そして、同じ熊本という場所で起きていて、でも被災はしていない私たちだからこそできることの1つとして、「伝えること」をやっていきたいと思いました。
休眠預金活用事業に採択いただく
佐賀未来創造基金さんの休眠預金活用支援事業に採択頂き、今回の「大切な人が被災したときに自分にできることが見つかる」プロジェクトが始まりました。
本件の担当理事は、稲田と村上。
ぶっちゃけ異色コンビです笑
得意とする対象が全然違ったためか、割と淡々と粛々とやれていたのかな?とも思います。
2017年グッドデザイン賞の時の村上、佐藤、稲田
(ツーショット写真なかった)
稲田は、本製作や写真展、webや動画などのコンテンツ全般のデータたちをどう纏め、どう見せていくかということと、チーム編成などを担当。
村上は、助成事業の申請から各種定例や報告書作成など全体取り纏め、取材先との交渉など、コミュニケーション関連全般を担当。
お互いに得意不得意分野が分かっていると、割とスムーズに話が進むものですね。
役割分担の大切さを味わいました。
この休眠預金活用事業として当初、行いたかったことは以下の2つ。
①冊子や動画、webを活用して、現地の状況を伝えることで、自分ができることを見つける人を増やすこと
②レジャーを行う企業と連携し、アクティビティ×ボランティアツアーを営業ツールの1つとし、CSRや企業研修の一環として現地に訪れたり、ボランティア活動として活用する企業や団体を増やすこと
でした。
ただ、この事業を行っていた時期は、コロナウイルス感染拡大により行政から蔓延防止策などが出されるなどで、事業自体も二転三転、四転…都度都度、内容を変更せざるを得ない状況でした。
(この対応、本当に大変でした。。泣)
特に②のアクティビティxボランティアツアーは、いろんな企業や団体に球磨川でのラフティングを楽しみながら現地を知ってもらったり、川沿いのごみ拾いをしたかったのですが、8月に1回、10月に2回の開催に留まってしまいました。
しかも、コロナへの対応策も今後どうなるか分からないけど、事業の終了期日は決められた日があるわけで、それまでに事業として成果や効果を出せるような別のこととは…?!
稲田と村上、めちゃ悩みました。。
写真や動画はたっくさんある…
しかもこれまでお披露目できてないモノたちもある…
本を作ることは確定しているし、東京で本のお披露目イベントをして広く知って頂き活用していこう!
ということで、写真展を開催することを決めました。
結果的には、休眠預金活用事業として3つのことを実施しました。
①「大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる」本、webサイトの作成、動画を活用して、自分ができることを見つける人を増やす
②レジャーを行う企業と連携し、アクティビティ×ボランティアツアーを営業ツールの1つとし、CSRや企業研修の一環として現地に訪れたり、ボランティア活動として活用する企業や団体を増やすこと
→ こちらはトライアルツアーとして規模を小さくして実施
③「大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる」写真展を開催して、自分でできることが見つかるきっかけ作りをする
①大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる本
発災当時の記録カメラマンとして現地に入って撮影もされていて現場の空気感がわかりつつ、編集者でもある大塚淑子さんに依頼をしました。
稲田 : 被災したときにどうするのかの情報はたくさんあるけど、支援したい人がどうしたらいいのかの、後押しになる本を作りたい。
村上 : ノウハウがたくさん書かれている、というよりも、当時どんなことが起きていて、どんなことを感じていたのかなども知れるような本を作りたい。
というオーダーを形にしてもらいました。
今考えると、こんなにざっくりとしたオーダーをよくぞあのように素敵に纏めていただいたなぁ!と改めて感動です。
本のデザインは、大塚さんの推薦でアプアロットさんに担当していただき、cafeやおしゃれなリビングにおいてあっても違和感のない、素敵な本にして頂きました!
現地で活動したボランティア221名にリアルな声を伺うべく、アンケートを実施しました。
ページ数の関係もあり、本には一部のみの掲載となりましたが、統計およびアンケートのコメントなどインフォグラフィックの動画およびWebにて公開しています。
熊本豪雨の際、熊本県では2つの財団がそれぞれに基金を設立しましたが、その経緯なども掲載しています。
本は5,000部作成し、ありがたいことに全国からお問合せを多く頂いたため、抽選で全国約30箇所のcafeやアパレル店舗、本屋、企業などに置いていただき、特に若い世代の方々にも災害時に「自分にできること」を考えていただくきっかけとなりました。
災害の種類は地域によっても状況は様々です。
「大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる」本の内容が正解というわけでもありません。
それぞれに「自分にできること」を考えたり、大切な人たちと話し合うことで、防げるものもあるかもしれません。
忘れ去られていくことを1つの記録として残すこと、伝えることが希望につながっていくと信じています。
「大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる」HPはこちら。
https://howtohelp.jp
BRIDGE KUMAMOTOでは、熊本地震や熊本豪雨を経験したことにより、災害支援の活動をメインに行っていましたが、少しずつ「さまざまな社会課題にクリエイティブの力で挑戦する」団体として変化をしてきています。
様々な取り組みを行っていますので、興味がある方はこちらからお問合せください。
②球磨川アクティビティ+ボランティアツアー
球磨川でラフティングを生業とされているランドアースさんにご協力いただきました。
球磨川のすぐそばにあるランドアースさんは、熊本豪雨の際には2階の天井まで浸水し、大きな被害を受けられました。
そのような中ランドアース代表の迫田さんは発災時、偶然1つだけあったボートを使って、地元の方々を救助されています。
今回、参加者にはランドアースさんに集合して頂き、
球磨川でのラフティングを楽しみながら川沿いにある災害ごみを拾うボランティア体験と、
当時の状況をお話しいただく語り部をセットとしてツアーを体験して頂きました。
ボートでしか行けないような場所に、災害ごみがたくさんありました。
洗濯機のような家電もボートに乗せて、車が入れる場所まで運びます。
ボートから車までは人力で運びます。水も含んでいたりしてとっても重いんです。
軽トラの荷台はすぐに埋まりました。
壮大な球磨川で楽しみつつ、水害のことも知れるツアー。皆さんとても良い笑顔でした。
きれいになった球磨川でのアクティビティ&災害ごみ拾いのトライアルツアーの様子はこちらからご覧ください!
https://youtu.be/EuiSP5z4ABU
BRIDGE KUMAMOTOでは、写真や動画を使った映像制作や、CSRや企業研修などの企画も行っております。
興味がある方はこちらからお問合せください。
③大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる写真展
2022/2/4〜2/6、東京新宿で開催した写真展。
事業計画変更を決めたのは9月だったため、いろんな方に協力を頂きながら急いで準備を開始しました。
「大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる」本のお披露目も兼ねた写真展だったため、
自分にできることが見つかる展示にしたい、
現地の様子を感じてもらいたい、というのがありました。
そこで、アートではなく、視覚的に比較をして感じてもらえる場として、「一軒家に被災した写真をマッチさせて、ビフォーアフターをみれる」写真展を企画することに。
このイベントを東京で開催した理由は、
熊本で何が起きていたのかを知って欲しい、
当時、現地に行きたくても行けなかった方々に伝えたい、
という思いからです。
こちらの写真展では、ソーシャル系のイベント開催やプロモーション等をされている、morning after cutting my hairさんにご協力いただきました。
BRIDGE KUMAMOTOの理事でもある田中美咲が代表を務める会社でもあります。
また、イベント会場の搬入や運営、設営に関しては、ボランティアインフォさんにもご協力いただきました。
ボランティアインフォさんとは、2016年熊本地震の時からのご縁で、2020年の水害直後にも県内ボランティアを増やすクマモトリバースというプロジェクト等でお世話になっています。
打合せを進める中で、写真展のコンセプトに、
被災地の状況を見て現地を知ることや、危機感を持つだけではなく、「自分にもできることが見つかる」とポジティブな気持ちで帰ってもらうこと、
自身のクリエイティビティを発散し、自分のできることに出会ってもらう場にしてもらいたい
というのも追加され、以下のようなステップで、写真展から思考の場へ、そして自分の言葉でアウトプットして頂くような展示になりました。
①想像する部屋「もしわたしの家が被災したら」を想像してもらうため、トイレには被災後のトレイの写真を、お風呂場には被災後のお風呂場の写真を、というように、比較しイメージしやすい配置で展示しました。
「自分だったらこんなことに困るかもしれない」と、自分を主語にした気づきを得ていただくために。
②自分にできることのヒントが見つかる部屋自分の好きなことや得意なことって、身近にありすぎて自分では気づかないものだったりします。
「あたなが日常的についやってしまうことはなんですか?」などの問いから、普段当たり前にやっているようなことの中から、好きなことや得意なことを見つけていただいたり、BRIDGE KUMAMOTOの既存の取り組みやボランティアインタビューを見ることで、「わたしにできること」のヒントに出会っていただくために。
③シェアする部屋小さな一歩目として、「わたしにできること」を自分の言葉でシェアを。
いろんな人たちの「できること」を知る場にもなりました。
①想像する部屋
②自分にできることのヒントが見つかる部屋
③シェアする部屋
展示した写真のカメラマンさんは
森 賢一さん、マエダ モトツグさん、山口 亜希子さん、新村 真功さん、大塚 淑子さん、稲田 悠樹です。
2022/2/4〜2/6の新宿での写真展は、約150名の方にご来場いただき、SNSでも様々な感想をいただきました。
今回作成した写真パネルや、問いのパネルは貸し出し可能です。
興味がある方、詳細が知りたい方はこちらからお問合せください。