REPORT / 助成団体の活動報告
声にならないニーズを拾う
「助けて」と言えない人のもとへ。10年の経験をもとに、何度でも現場へ。

令和8年熊本地震 BRIDGE KUMAMOTO基金の第2期助成団体「NPO法人九州災害復興支援リーダーズサミット」の活動レポートです。
「うちはいいから、他の家を先にやってあげて」
被害が大きい家ほど、そんな言葉が返ってくることがあるといいます。
高齢者が多い地域では、ボランティアセンターの存在や依頼の仕方が分からない人もいます。周囲に気兼ねして、自分の家の被害を言い出せない人もいます。
支援を必要としていても、「助けてほしい」と声をあげられる人ばかりではありません。
そんな「声にならないニーズ」を拾いながら活動しているのが、NPO法人九州災害復興支援リーダーズサミットです。
10年前の熊本地震から生まれた「リーダーズサミット」
団体の原点は、2016年の熊本地震です。
当時、各避難所で活動していたリーダーたちが定期的に集まり、状況や支援について情報交換していました。そのつながりから生まれたのが「九州災害復興支援リーダーズサミット」です。
その後も九州の豪雨災害など、全国の災害現場で支援活動を続けてきました。

メンバーの多くは、会社員やトラックドライバー、自営業者など、本業を持っています。災害が起きれば、それまでの経験やつながりを生かしながら現場へ向かいます。
必要なものを聞くところから始まった
今回、地震が発生すると、代表の原田秀夫さんは、まず被災地域の知人に連絡し、「何が必要なのか」聞き取りから始めました。
翌日から物資を集め始めましたが、地域では必要なものが手に入りにくくなり、つながりのあった福岡などから物資を調達し、現地へ届けました。
発災直後は猛暑の夏。厳しい暑さが続いていたため、飲料水など熱中症対策の物資が中心でした。
その後、必要とされる支援も変わります。
家屋の片付け、ブルーシート張り、壊れたブロック塀の撤去など、生活を取り戻すための作業へと活動を移していきます。
8月当初は週3〜4回ほど現場に入り、9月に入ってからも週1〜2回程度、依頼に応じながら活動を続けています。


「物資がない」だけではなく、「支援が届かない」
活動を続けるなかで見えてきたのが、支援からこぼれ落ちてしまう人たちの存在です。
SNSで物資不足を発信すると、翌日には余るほど物資が集まることもあります。一方で、報道された地域や指定避難所の外側にいる人には、届きにくいことがあります。

支援が届きにくい人たち
- 在宅で避難している人
- ボランティアにどう頼めばいいのか分からない高齢者
- 被災しても「自分より大変な人がいるから」と遠慮してしまう人
リーダーズサミットでは、地域の知人や区長などから話を聞きながら、表に出にくいニーズを探っています。
物資を集めることと同じくらい、「誰が本当に困っているのかを知ること」が、災害支援には欠かせないのかもしれません。
10年間の経験から変えた、支援のかたち
2016年の熊本地震から活動を重ねるなかで、支援側にも学びがありました。
今回は、連絡窓口を一本化。現地で本当に必要とされているかを確認してから動くようにしました。
「何を必要としているか」。
10年間、災害現場に関わり続けてきたからこその変化です。
助成金が、現場へ向かう「足」を支える
USE OF GRANT / 助成金の主な使い道
- 燃料費被災地へ向かうための車両の燃料代
- 高速道路料金現場へ通うための交通費
今回の助成金は、被災地へ向かうための燃料費、高速道路料金などに活用されています。
活動のなかで特に負担が大きいのが、現場へ通うための交通費でした。
必要としている人のところまで運ばなければ、支援にはなりません。
寄付による支援は、メンバーが被災地域へ足を運び続けるための力にもなっています。

心を支える活動へ
時間の経過とともに、必要な支援はさらに変わります。
今後は、片付けなどの支援を続けながら、被災した人たちの心のケアにも力を入れていく予定です。
2016年の熊本地震でも取り組んだ落語家による交流に加え、オーケストラの演奏を届ける「音楽の炊き出し」も計画しています。
水や食料を届ける。壊れた家を片付ける。そして、少しでも心を緩められる時間をつくる。
復旧の段階に合わせながら、支援のかたちも変えていきます。
「災害はまだ終わっていない」
九州災害復興支援リーダーズサミットでは今回、活動を最低1年間は続ける予定です。
被災者が仮設住宅や復興公営住宅に移り、生活が次の段階へ進むまで、支援を続けていきます。
最も伝えたいことをたずねると、シンプルな言葉が返ってきました。
「災害はまだ終わっていない」
災害直後には多くの人や物資が集まります。しかし、ニュースが少なくなったあとにも、被災した人たちの暮らしは続いています。
声にできない困りごとを見つけ、必要な支援につなぎ、何度でも現場へ足を運ぶ。
その活動を、寄付というかたちで支える人たちもまた、復旧・復興を支える一員です。
作成協力インタビュー&執筆:LINEヤフープロボノプロジェクト 森 禎行
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/csr/article/050/
BRIDGE KUMAMOTO基金より
皆さまからお預かりした支援金は、支援の届きにくい方々のもとへ、メンバーが何度でも足を運ぶための力に確かに変わっています。
これからも助成先の活動の様子をお伝えしてまいります。引き続き温かく見守っていただけますと幸いです。
