助成団体の活動レポート「one step+」|子どもに「楽しい一日」を、 親に「自分の時間」を

助成団体の活動レポート「one step+」|子どもに「楽しい一日」を、 親に「自分の時間」を

REPORT / 助成団体の活動報告

子どもに「楽しい一日」を、
親に「自分の時間」を

物資の届かない場所へ。そして、声にならない親子の困りごとへ。

one step+

one step+による子どもの居場所づくりの様子
子どもの居場所づくりの様子

令和8年熊本地震 BRIDGE KUMAMOTO基金の第2期助成団体「one step+」の活動レポートです。

「お母さんに構ってほしい。でも、大変そうだから言えない」

被災した家庭の子どもから、そんな声が聞こえてきました。

被災した親は、通常の生活に加えて、家の片付けや手続きなどに追われています。子どもの相手をしたくても、余裕がない。子どもも、親が大変な状況なのがわかるからこそ、我慢してしまう。

熊本地震の被災地で活動を続ける「one step+」は、現場を回るなかで、物資だけでは見えてこない、親子の困りごとを感じていました。

「届かないところ」へ物資を届ける

one step+は、2025年11月に立ち上がった団体です。

もともとは、セクシュアルマイノリティなど生きづらさを感じる人たちを支援することを目的に活動が始まりました。10年前の熊本地震では、セクシュアルマイノリティは避難所で支援を受けにくい状況でした。防災をテーマにした講演などにも取り組んできました。

今回の災害では、過去の災害支援経験を生かし、すぐに物資の受け入れ拠点を立ち上げました。

避難所には多くの物資が集まる一方で、避難所以外で生活する人や、自宅避難の人には、十分に届かないことがあります。

拠点に集まった紙おむつや日用品などの支援物資
拠点に集まった支援物資
飲料水などの支援物資と関係者の皆さん
物資の受け渡しの様子

そこで、行政とも連絡を取りながら、公民館などを拠点に、地域の人たちに物資を運んでもらう活動を約3週間続けました。車中泊や高齢者の体調確認など、支援からこぼれやすい人たちにも目を向けました。

現場から見えた「親子の時間」

時間の経過とともに、さまざまな相談が寄せられるようになり、他の支援団体につなぐ役割も担うようになりました。

そんな現場で見えてきたのが、子どもたちとその親が抱えるストレスでした。

「子どもたちだけではなく、親にも時間が必要なのではないか」

親には、普段以上の負担を強いられる中で、子どもに目が行き届かない場合があります。

そこで団体では、子どもたちと遊んだりする「子どもの居場所づくり」を実施しました。

子どもを支える時間を持つことは、
親を支えることにもなる。

この経験が、新たな支援へとつながりました。

約40人の子どもたちに「楽しい一日」を

今回、BRIDGE KUMAMOTOの助成を活用し、被災した小学生を対象としたイベントを計画しています。

USE OF GRANT / 助成金で計画しているイベント

  • 対象被災した小学1年生〜6年生 約40人
  • 内容バスをチャーターし、熊本市動植物園で一日を過ごす
  • ねらい子どもたちには思いきり楽しい一日を、親には「休息時間」を

対象は小学1年生から6年生までの約40人。バスをチャーターし、熊本市動植物園で一日を過ごしてもらう予定です。

子どもたちに思いきり楽しんでもらう一方で、その間、親には「休息時間」が得られます。

「親には一日、自由にしていただく。家の片付けをしてもいいし、気分転換をしてもらってもいい」

助成金は、子どもたちの「楽しい一日」だけでなく、被災後走り続けてきた親にとって「自分の時間」を生み出すことになります。

動物を見学する子どもたち
子どもたちの活動の様子

「声を上げられない人」をどう支えるか

団体が大切にしているのは、目に見えるニーズだけではありません。

団体設立の背景には、10年前の熊本地震で、セクシュアルマイノリティの人たちが支援からこぼれがちな経験があります。

今回も、避難所などで自らセクシュアリティについて声を上げることは簡単ではありませんでした。困っていても「困っています」となかなか言えない人々です。目を配りつつ、どう気づき、どう支援につなげるかは、今後に残された課題だといいます。

LGBTQ当事者の方・配慮が必要な方へ生理用品を提供するお知らせ
one step+が発信した、生理用品提供のお知らせ

子どもたちも同じなのかもしれません。

「構ってほしい」と言いづらい子どものように、災害時には、声にならない困りごとがあります。

現場に入り、人に会い、話を聞く。

その小さな声を拾うことから形を変えてきました。

「話を聞くだけでも、ボランティア」

今回、震度7の巨大地震が起きました。しかし発災から2か月がすぎ、報道は少なくなり、人々の関心も少しずつ薄れていると感じます。

だからこそ、副代表の玉木さんが伝えたいのは、

「忘れないでほしい」

ということです。

「『熊本はいま、どうなっているんだろう』と気にかけていただくだけでもありがたい」

そして、支援のハードルを必要以上に高く考えなくてもいい、と話します。

「話を聞くだけでも、ボランティアです」

熊本を訪れたときに、周りを訪ねたり、話を聞いてみる。それだけでも、誰かに話を聞いてほしかった被災者にとって、支えになるかもしれません。

物資を届けることから始まった活動は、子どもたちの時間をつくり、親の時間をつくりました。

できることから、一歩を踏み出す。

その小さな「one step」が、被災した誰かの日常を取り戻す力になっています。

作成協力インタビュー&執筆:LINEヤフープロボノプロジェクト 森 禎行
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/csr/article/050/

BRIDGE KUMAMOTO基金より

皆さまからお預かりした支援金は、支援の届きにくい方々へ物資を届け、被災した親子が安心して過ごせる時間をつくる活動に確かに変わっています。

これからも助成先の活動の様子をお伝えしてまいります。引き続き温かく見守っていただけますと幸いです。